生前贈与(登記手続き)の解説
2016/03/20
目次
生前贈与の手続(登記手続)とは
亡くなる前に、名義を子や配偶者(妻)に移しておきたいという相談を受けます。
法律上、登記手続上は、贈与者と受贈者との合意があれば、贈与契約が成立し、贈与を原因とする所有権移転登記も可能です。
生前贈与の問題点(税法上の)
しかしながら、贈与については、受贈者に贈与税が課せられます。
以下の表は、一般税率による贈与税の速算表ですが、1000万円を超える贈与については45%、1500万円を超える贈与については50%もの税率を乗じた贈与税が課税されます(基礎控除である110万円はありますが。)。
区分 | 200万以下 | 300万以下 | 400万以下 | 600万以下 | 1000万以下 | 1500万以下 | 3000万円以下 | 3000万円超 |
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
このあたりの課税関係を知らずに、専門家に相談しないまま不動産の名義変更の登記をしてしまい、税務署からの指摘を受けた後で、直して欲しいという相談も受けますが、この点については、別の機会に説明させていただこうかと思います。
生前贈与をするケース
相続税対策として、基礎控除である110万円の範囲内で、毎年生前贈与をするケースもありますが、司法書士が行う不動産の名義変更(生前贈与)としては、以下の特例を利用して、生前贈与をするケースが多いです。
また、不動産の評価額がさほど高くない物件については、贈与税を支払うことを前提で、名義変更される方もいます。
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
特例を受けるためには、贈与をした年については、贈与税の申告時に配偶者控除による旨を申告する必要があります。
具体的な手続きについては、税理士、税務署にご相談ください。
相続時精算課税制度の利用
贈与をした年の1月1日において60歳以上の親又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に贈与をした場合、相続時精算課税制度を利用することにより、2500万円までの特別控除(贈与税がかからない。)を受けることができます。
これらの贈与は、相続時に精算され、相続税の計算時に贈与した財産も相続財産に加算されます。
特例を受けるためには、贈与をした年については、贈与税の申告時に相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。
具体的な手続きについては、税理士、税務署にご相談ください。
相続時精算課税制度の注意点
相続時精算課税制度は、生前の贈与について、本来払うべき贈与税を相続時に支払う相続税に繰り延べるものです。
相続税の場合、「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」など、相続する不動産の価額を減額する特例(限度面積がありますが、居住用の場合は80%が減額されます。)がありますが、相続時精算課税制度により贈与した財産は贈与した財産の価額がそのまま課税されます。
特に、将来的に相続税が課税される方(相続税の基礎控除額以上の財産をお持ちの方)の場合は、税法上不利になることが多いと思われますので、制度の利用を検討される場合は、税理士の先生や税務署によく相談することが必要です。
生前贈与の手続(登記手続)
当職は、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格をもっており、贈与税や相続税などの税制に関する情報を提供することができますので、税金面も考慮した上で、生前贈与の手続きをすることができます。
また、個別具体的な税務については、税理士、税務署に別途相談することが必要ですが、依頼者様が希望する際は、税理士の先生をご紹介することも可能です。
生前贈与の手続(登記手続)は、まず、ご依頼をいただいた時点で、当職で、名義変更に必要な贈与契約書などを作成します。
依頼者様の方で準備する書類は、一般的なものとして以下のとおりです。
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 贈与者様の印鑑証明書
- 物件の固定資産評価証明書
- 受贈者様の住民票
- その他、本人確認資料
生前贈与の手続(登記手続)に必要な書類に署名、押印いただいた後、法務局に登記申請をし、生前贈与の手続(登記手続)を行います。
登記の完了までにかかる時間は、1~2週間程度です。
しんせん千葉中央司法書士・行政書士事務所のご案内この記事の執筆者
千葉市中央区、千葉県庁、千葉地方裁判所そばの司法書士・行政書士・FP事務所です。
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