成年後見制度(任意後見)の解説
2016/08/06
任意後見契約の手続き、任意後見人については、成年後見制度初期の頃から成年後見人(法定後見)に選任され、実務経験豊富な、千葉県庁・裁判所から徒歩1分の当事務所の司法書士・行政書士にご相談ください。
目次
任意後見とは
法定後見制度とその問題点
既に、本人に事理弁識能力(判断能力)に問題が生じている場合は、親族(4親等内の親族)などにより、裁判所に成年開始の審判を求めることにより、成年後見人、保佐人、補助人が選任され、本人の身の回りの管理を行うことになります。
これらは、法定後見制度の枠組みの中で行われるものですが、当然のことながら、法定後見の場合、本人の事理弁識能力(判断能力)に問題が生じているこので、本人の意思は確認できない若しくは意思の確認が不十分になりますので、その管理は妥当なものではあると思いますが、ご本人の希望に沿った方法とは限りません。
法定後見制度については、以下の記事をご参照ください。
任意後見制度の利用
任意後見制度では、本人が元気なうちに、あらかじめ「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する」(任意後見に関する契約)ことにより、本人の希望に添った財産管理事務が行われるようにするものです。
任意後見の手続については、次のような流れで行われます。
任意後見の相手方(任意後見受任者)
まず、誰に自分が財産管理ができなくなったときの財産管理を委任をするかという問題があります。
任意後見人は、親族がよいか、専門職に頼んだ方がよいか
これについては、よく、相談を受けるのですが、ご本人が信頼する人に委任することが原則といえます。
信頼できる人については、①「信頼できる親族がいるので」という考え方もあるでしょうし、②「司法書士などの専門職に依頼した方が公正な管理が期待できる」という考え方もあります。人それぞれです。
司法書士と成年後見センター・リーガルサポート
成年後見センター・リーガルサポートの司法書士(成年後見業務を行っている先生は入っていることが多いです。)の場合、裁判所による任意後見監督人のほか、リーガルサポートの監督も受けているので、信頼性は高いといえます。
リーガルサポートでは、家庭裁判所に後見人名簿を提出し、同裁判所からの成年後見人の推薦依頼を受けているほか、また、定期的に裁判所と協議を行っています。司法書士の成年後見人の団体としては唯一のものとなっています。
任意後見契約の締結
任意後見契約の内容の打ち合わせ
任意後見契約を締結する受任者を決めたら、任意後見契約でどういった財産管理を依頼するのかご本人と受任者で打ち合わせをします。
例えば、「自宅は、可能な限り売却しないようにして欲しい。」とか、「一人で生活することが難しくなったら、施設入所するようにしたい。入所先については、こういったところがよい。」とかそういったところです。
最近は、終末医療が問題になることも多いので、特に施設入所の場合は、延命措置などの終末医療についても決めておいた方がよいかと思います。
任意後見契約書は、公正証書で作成します。
任意後見制度を利用するには、法務省令で定める様式の公正証書によって任意後見契約を締結する必要があり、内容が決まったら、公証人役場で、任意後見契約を締結し、契約書を公正証書で作成します。
任意後見契約については、どこまで細かく決めるかという問題がありますが、細かく要望があるのであれば、司法書士などの専門職に作成を依頼した方がよいかと思います。
財産管理契約とは
任意後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況になったときに財産の管理を受任者に委託するものです。
しかしながら、事理を弁識する能力があったとしても、高齢により外出するのがおっくうになったり、細かい管理が大変だという方もいらいます。
財産管理委託契約とは、
上記のような場合、状況により、財産管理契約を締結する場合があります。
これは、本人は元気なのですが、その委任に基づき財産の管理をする契約です。実際、任意後見契約の際に財産管理契約を締結することは多いです。
財産管理契約を締結する利点
財産管理契約は、ご本人の便宜というのもありますが、元気なうちに財産管理を依頼することにより、任意後見契約が発効したときの予行演習ができるというのが利点だと当職は考えています。
実際に任意後見受任者に財産管理をやってもらい、問題点があれば、任意後見受任者に対応してもらうことができます。また、一定の期間、財産管理を依頼することによって、任意後見受任者がどういった管理をしてくれるのか、受任者が実際に信頼できるのかなど、そういった点が明らかになってくるので、安心かと思います。
見守り契約とは
特に財産管理を依頼する必要がない場合、見守り契約を締結することもあります。
よくある例としては、「一人暮らしなので、自分に何かあったときに周りに気づいてもらえるか心配である。」といったときに、定期的に任意後見受任者に様子を見てもらい、事理を弁識する能力が不十分な状況になったら、財産管理を代わってもらうといった感じです。
遺言の作成の必要性
また、任意後見契約を締結するときは、将来のこと亡くなったとき、葬儀はこうういうようにしてほしいとか、にここのお寺さんに埋葬して欲しいといった話もしますので、亡くなった後、相続財産をどういった形で相続させるかといった話になりやすいので、結果として、遺言を併せて作成することが多いです。
任意後見監督人の選任
財産管理委任契約を締結した場合、任意後見受任者が代理人として財産管理事務を行い、本人が任意後見受任者を監督することになります。
物事を判断する力(事理を弁識する能力)の低下とその問題点
任意後見契約は、「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託」することとし、任意後見受任人が財産管理事務をすればよいわけですが、任意後見契約が効力を持つ(発効)ようなときは、監督する人が事理弁識能力に問題が発生しているわけですから、適正な管理ができるかについて、制度上の担保がなされていません。
任意後見監督人の選任と監督
そこで、本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況になったときは、裁判所に任意後見監督人の選任の申立てをすることにし、任意後見監督人の監督の元で、任意後見人が本人から委託された任意後見事務をすることとなっています。
任意後見事務
任意後見人は、本人から委託された任意後見事務をすることになり、生活、療養監護及び財産の管理に関する事務の方針については、元気なうちに任意後見人に任意後見契約書で指示している訳ですから、ご本人の意思に従って管理をすることにおいて、法定後見よりも利点があるわけです。
当事務所における任意後見事務
当事務所では、任意後見契約書、財産管理委任契約、遺言などの必要な書面につき、作成の相談、公正証書の原案を作成し、公証人との事前打ち合わせや証人として 公正証書遺言の作成に立ち会います。また、任意後見人としての任意後見事務の委託もお受けしています。
費用については、予想される委託事務の量によって変動するので、相談者のお話を聞いた上でということになりますが、通常の管理事務については、月額4万円程度でお受けしています(公正証書作成についての報酬は別途)。
しんせん千葉中央司法書士・行政書士事務所のご案内この記事の執筆者
千葉市中央区、千葉県庁、千葉地方裁判所そばの司法書士・行政書士・FP事務所です。
法令・判例、先例・通達を重視した執務を行っています。暮らしや会社に関わる法律のこと、不動産や会社の登記のこと、営業許可や在留資格のこと何でもご相談ください。
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