インターネット利用詐欺
2015/09/17
インターネット利用詐欺について
インターネットを利用した詐欺事件が多発しています。
これらの行為は、匿名または偽名で行われるため本人の特定が困難ではあります(ただし、手間暇をかければ特定はある程度可能です。)。
インターネット利用詐欺の特徴
その特徴については、以前、私が訴訟時に一般論として論じた文書(抜粋)がありましたので以下そのまま引用します。
なお、匿名であろうが、民事及び刑事上の責任は負うというのは当然のことです。
2 インターネットの普及による詐欺事件,消費者被害の増加
(1) インターネットの加速度的な普及は,個人が不特定多数に対し情報を容易に公開・発信し,また,情報を得ることを可能にし,国民の利便性の向上に大きく貢献したといえる。
(2) 他方,(主にフリー(無料)サービスで顕著であるが)身分確認を取らないホームページや掲示板のサービスを利用し匿名のまま自ら情報を不特定多数に対し発信し,また,他の人間が運営する匿名掲示板に書き込みをする方法を利用することにより,匿名のまま情報を不特定多数に対し発信し,匿名のまま取引における申込の誘引を行うことを可能にした。
(3) また,(主にフリー(無料)メールで顕著であるが)身分確認を取らないメールサービスやメールの送信ヘッダの改竄等により,他人名義又は匿名のままで,不特定多数の一般消費者に対し勧誘行為を行うことが可能になった。
(4) メールを一括送信することは,実に容易であり,何万人に対して,メールを送信することもワンクリックで行うことが可能である。平成18年5月25日には,他人名義や架空名義のアドレスを使って出会い系サイトの宣伝メール約300万通を送信したとして、東京都の会社員が逮捕されている(甲5)。当然,この会社員も他人名義や架空名義のアドレスを利用していたことから詐欺まがいの活動をしたいた可能性が高い。
(5) 問題であるのは,一個人(会社員や学生等の普通の一市民が)が,匿名のまま簡単に数百万人もの一般消費者に対し勧誘行為を行うことができるということである。この匿名性を利用し,安易に詐欺行為に利用する者の増加も増加する一方であり,架空請求,貸します詐欺,オークション詐欺,フィッシング詐欺,ワンクリック詐欺などの用語はマスコミ等を通して一般的となり,様々な類型の詐欺事件がインターネットを舞台にして行われている現状である。
3 インターネットの普及による詐欺事件,消費者被害の一般的傾向
(1) 先に述べたとおり,インターネットを利用した詐欺行為の特性は,「匿名性」及び「不特定多数に対する申込の誘引・勧誘行為」にあるといえる。
(2) また,メールによる勧誘行為については,従前においては,架空請求に代表されるように外見上明らかに詐欺行為(事案に応じては脅迫にあたる場合もあるであろう。)から何らかの取引を装った詐欺行為にあたるものに移行しつつあると言える。
(3) その手法は,社会通念上明らかにありえない条件で,何らかの経済的な利益を相手側に「無料」ないしそれに準じた条件で与えるというのが典型である。当然,詐欺行為を働く者としては,契約当事者として義務を負担する意思はなく,匿名であり契約責任を追及されることも事実上ないことから,どのような申込の誘引・勧誘行為も行うことができ,その手法は,多様化する一方である。
(4) 例えば,代表的な詐欺であるオークション詐欺の場合,通常,その商品をその値段で売ることは流通のシステム上明らかに無理であるものについて,その値段で売ると誘因し不特定多数から金員を詐取する。貸します詐欺については,いわゆるブラックリストに掲載された人間等から通常ありえない条件(例として,無担保,2000万まで1~3%の金利で)で貸し出すと称し,登録料・保証料等さまざまな名目で金員を詐取する。といったふうである(甲6)。
(5) また,金員を詐取するとその詐取した金員を「没収する。」と称して,さらなる金員を詐取(この場合,もはや脅迫と言えるであろう。)するのもこの手の詐欺によくある手口であり,被害金額も100万円超えるような多額に至るケースもままある。
(6) これらの,詐欺行為は,「(口実は)何でもいいから,自分の預金口座に金員」を入金させればよい。という思想に基づいて行われており,「インターネットビジネスだ。」と言い切る人間もいる始末である。
しんせん千葉中央司法書士・行政書士事務所のご案内この記事の執筆者
千葉市中央区、千葉県庁、千葉地方裁判所そばの司法書士・行政書士・FP事務所です。
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